沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

でぃぐぬ花の咲く頃

でぃぐぬ花(デイゴの花)が咲き始める季節になった。

灼熱の太陽に挑戦するかのように咲き誇る真紅の花。亜熱帯地方に特有のはちきれる生命力を、これでもかと誇示する、でぃぐぬ花。澄み切った青い空とでぃぐぬ花は、恋人同士のようによく似合う。少年の頃のぼくにとって、梯梧は不思議な雰囲気を持つ樹木だった。

全身に棘があり、木登りの好きな子供達を寄せ付けない。しかし少しも怖い感じはなく、むしろなんとなく優しそうな雰囲気をただよわせている。孤独ではあるが、逞しい木。梯梧はそんな感じの木だった。少年の頃の印象は現在も変わらないが、しかし、少し変化してきたのも事実だ。

いつの頃からか、他を寄せ付けぬあの梯梧に、ある種の悲哀を感じるようになった。なぜ悲哀を感じるようになったのか、うまく説明できないが、多分、梯梧とぼくの間に横たわる、あの距離感、どうしても埋まることのない、あの距離感がその原因ではないかと思われる。

馴れ合いを許さない距離。醜い棘だらけの樹に咲き誇る真紅の花は、誰からのプロポーズも拒否するかのように、その美しい姿を青空に差し出す。しかし、でぃぐぬ花は、その空間で孤独のままだ。

その孤独の姿をみると、やはりなぜか、悲哀を感じてしまう。「沖縄育ち」という歌がある。少年の頃からずっと耳にしてきた歌だ。

八重山出身の黒島英章さんの作詞・作曲で昭和18年頃作られたらしい。純朴で明るい歌で、聴くたび歌うたびに、元気になるが、少し哀調感もある。そんな歌だが、最初の歌詞だけ掲載することにしよう。実は、当ブログのタイトルの閃きは、この歌からきている。

でいごの花の咲く頃は

真赤な日陰で子守唄

花かんざしの ヤレ沖縄育ち ヤレ沖縄育ち