沖縄よ! 群星むりぶし日記

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「沖縄に内なる民主主義はあるか」を批判する 3

今回は、2014年6月10日のブログ「なぜ、沖縄に米軍基地は必要か」をとりあげる。

社会主義圏が崩壊縮小していった歴史的経過を長々と述べているが、誰でも知っている事を教科書的に書いているだけなので、そこの部分はカットして問題とすべき所に焦点を当てて批判のメスを入れることにする。

< 沖縄に米軍基地がある原因は中国が存在するからである。なぜ中国が存在するから米軍は駐留するか、中国は米国・日本の民主主義国家と対立してきた社会主義国家だからである。そして、軍事力で他国に侵略する国だからである。米軍は中国の沖縄、日本に侵略するのを抑止するために存在している。>

あまりにも単純な認識に愕然とするのは、ひとり、ぼくだけではあるまい。表面の現象しか見ていないから、このように幼稚な、真実を見定めるこのできない、軍事思考に陥るのだ。このようなプロパガンダが歴史をよく知らない若い世代にどれほど悪影響を及ぼすか、よくよく注意しなければならない。

沖縄に米軍基地が戦後七十一年が経過しても、現在なお存在する原因を把握するには、歴史を百年前にさかのぼって、東南アジアの当時の状況の全体像を俯瞰する必要がある。しかし、その全体像を詳細に記述しようとすれば、膨大な量になることは必然なので、今は要点を記述するだけにとどめたい。

さて、日中戦争が泥沼化していく中で、帝国諸国の中で中国大陸における利権獲得に遅れをとった米国は、満州帝国を構築した日本を特に敵視した。新興国家の一アジア民族にすぎない日本が欧米諸国と対等に利権を争うとは生意気だというわけだ。

中国大陸から日本を駆逐するため、米国はヨーロッパ帝国諸国と歩調を合わせて、様々な陰謀を企てながら蒋介石軍に対して、資金と武器の援助をしたことが歴史的事実として明らかにされている。

ルーズベルト大統領は、日本を潰すために戦争に引きずり込む策謀を企て、見事成功する。真珠湾攻撃で太平洋戦争が勃発したのではない。ハル・ノートを突きつけた時点で、実質上、米国は日本に宣戦布告したのである。各地で戦われた戦闘の記述は省く。

沖縄占領、東京大空襲、広島長崎への原爆投下、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して参戦してきたソ連ポツダム宣言受諾、そして大東亜戦争の敗北。連合国軍総司令官としてのマッカーサーは、七年間の日本占領期間において、徹底した日本弱体化政策を実行した。

国際法違反の東京裁判、マスコミ他郵便物の大規模な検閲、米国型民主主義を押しつけるための明治憲法破棄、僅か七日で制定された現憲法施行。沖縄の米軍基地建設、本土各地における米軍基地建設。

これら全てが、絶対的権力を持つマッカーサーによって遂行されていったのである。裏返して考えるならば、米国は日本軍の強さ恐ろしさを身に染みて感じていた証拠に他ならない。日本軍の強さの秘密は、アジアを欧米諸国の植民地支配から解放するという立派な大義があったからである。それゆえに、米国は、日本が再び欧米諸国を脅かす軍事大国として台頭してくることがないように、徹底的に骨を抜き弱体化を図ったのだ。

日本民族の意識を改造するだけでは安心できない。優秀な民族である日本人はきっといつか再び目覚めて、国際舞台に台頭してくるはずだ。ゆえに、軍事的にも押さえておく必要がある。世界戦略の一環として、米国はそう考えた。

マッカーサーによる日本占領が続く間、連合国の一員として共に戦ってきたソ連と米国の対立が激化し、毛沢東も資本主義体制の米国に敵対するようになる。その脅威が現実になったのが、朝鮮戦争である。最高指揮官のマッカーサーはその時、理解することになる。日本の戦争は自衛戦争だったのだと。

そして米国は、対ソ連、対中国対策として、在日米軍を活用するために、基地を増強強化していく。それを目的に締結されたのが、日米安全保障条約である。

日本国を共産勢力から守るというのは建前であり、本音は日本列島を米国の最西端の国境にして、米本国を共産勢力から防衛することにある。

以上、大雑把ではあるが、米国の極東戦略のあらましを記述した。又吉(ヒジャイ)が言うように、<米軍は中国の沖縄、日本に侵略するのを抑止するために存在している。>

と断定するのは、米軍に寄り添った見解であり、単純すぎて誤解を招く危険性があり、有害でしかない。在日米軍は中国が沖縄、日本を侵略するのを抑止するために存在しているのではない。むしろ、次のように言い換えるべきだろう。

「米国は、先の戦争で日本に勝利したのを最大限利用し、日本に強大な米軍基地を置くことにより、日本の再武装を抑えると同時に、米国本土を共産勢力から防衛することに役立てている。そしてそれは中東方面で軍事展開するときにも、大いに活用できるし、実際そうしてきた。米軍が日本への中国による侵略の抑止になっている事実は、あくまで付随的現象にしかすぎない。」