沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

高山正之氏の軽薄さ

昨日、YouTubeに公開されたFront Japanで高山正之氏が「沖縄の自治は神話だ」という題目で見解を述べている。

内容はというと、1961年2月から同64年7月まで沖縄高等弁務官を務めたキャラウェイ中将が当時、沖縄の自治は神話であると述べたことを引き合いに出して、安慶田前副知事疑惑問題を取り上げ、沖縄の現行政がいかに劣等であり、キャラウェイ時代から少しも進歩していないと論述展開するような内容になっている。

残念というか、やはりというか一般的な意味で全国的に名の知れた本土の言論人が、沖縄について語る時、意図的か無意識的か知らないが、誤解と偏見に陥る独特の姿勢が高山氏にも見られるのだ。まず事実誤認を指摘したい。

キャラウェイ高等弁務官の時の県知事は西銘知事のようなことを言っていたが、当時は祖国復帰前であり、選挙で選ばれる知事は存在せず、主席という名前の高等弁務官による任命制度であった。キャラウェイ時代の主席は大田政作である。

高山氏はキャラウェイの側に立って、当時の沖縄の政治家には自治能力がなかったと言うが、当時の琉球政府の上には米国民政府がどっかり覆いかぶさっていて、行政主席始め沖縄の政治家には限られた権限しか与えられていなかったのである。そのような状況下における自治能力とはいったいどのようなものであるのか、説明して欲しいものだ。

そして現在の安慶田前副知事疑惑問題は、キャラウェイ時代の自治発言問題とは全く異質の問題であって、それを強引に絡めて同一視するのはやめるべきだ。選挙によって選ばれた政治家に不正が発覚したら、自浄作用が働いて正されていく、現在進行しているのはまさにその過程であり、沖縄に自治精神がある証拠である。

高山氏はまず沖縄の歴史をもっと勉強すべきだ。キャラウェイ時代の沖縄を知りたければ大田昌秀著「沖縄の帝王 高等弁務官」を推薦する。歴代の高等弁務官が沖縄とどのように関わってきたか、詳細に解き明かした名著である。

高山氏はうろ覚えの軽い知識でもって沖縄の歴史を知らない人々を間違った方向に誘導するのはやめるべきである。こんなことでは高山氏本人が毛嫌いする朝日新聞と同じ役割を演じることになりかねないと忠告しておく。